「近来、議会否認論の行わるる傾向があるがこれは政治の実際に迂遠にして到底改善はできぬと速断したるものであり、これに対して我々はあくまで議会政治の妙用を信じ、十分改善の可能なるを信ずるのである。」

「そもそも政界百弊(ひゃくへい)の根源は、選挙に莫大の金を要するがゆえなれば、まずもって現行選挙法を改正しなければならぬ。」

「しかれどもかくのごとき制度の改正は、結局これを活用すべき政治家の態度行動如何によるものであり、たがいに政策の決定したるものは万難を排して着々これを行い、もって議院政治の真面目(しんめんもく)を国民に向かって指示したらんには、現行の政治組織を否認せんとするものの大部分は緩和同化せらるるものと確信する」

 『犬養木堂伝』中巻(東洋経済新報社)所収(昭和7年5月8日)